2007年06月10日

◆ 人口減社会中国5県の挑戦 その四

2007.03.16
(日本経済新聞広島経済版より抜粋)
世代の「すき間」照準
力仕事から墓掃除まで

 広島湾に浮かぶ広島県江田島市。高齢化と人口流出が進む島でイズミが運営するショッピングセンター「ゆめタウン江田島」の応本博文店長(50)は心に誓っている。「この店はお年寄りのレジャーランド。十年後も存続させなければいけない」

 きっかけは昨年8月に起きた送水トンネル崩落事故だった。約二週間、島の約八割の世帯で断水した。同店はタンクで水を運び、営業を継続。応本店長は多くの高齢者から「店が開いているのがうれしい」と感謝されたことが忘れられない。

 応本店長が赴任したのは3年前。まもなく特殊な顧客層に気づいた。それは島にいないはずの30〜40代や子供の姿だった。呉や広島に移り住んだ子育て世代が休日だけでなく平日の夜も孫を連れて帰省し、60〜70代の親を連れて買い物に来ていたのだ。

3世代の客対応

 「地元の高齢者だけを対象にした店作りをすると間違う」。応本店長は一緒に来店する孫向けに菓子売り場を拡充し、アンパンマンのTシャツをそろえた。30-〜40代向け衣料や黒毛和牛など高価格帯の食材も増やした。主要顧客は高齢者だが、「孫や子供が喜ぶ商品がないと高齢者も来なくなる」からだ。

 断水事故後、応本店長は大型改装を決意。昨年11月に通路幅を広げ、休憩用ベンチを増設するなど一億五千万円を投じ、親子孫三世代が楽しめる店にした。改装後の売上高は前年比3パーセント増で推移している。応本店長は「今は珍しいが、高齢化が進んだ5〜10年後にはここが標準店舗になる」と言い切る。

 地域密着を掲げる地方スーパーにとって、高齢者向けサービスは生き残りの鍵を握る。山口県下関市で食品スーパーとディスカウント店を展開するサンシズカは2004年に店舗の半径1.5キロを対象に購入商品を顧客の自宅に配達するサービスを始めた。4200円以上の購入者は無料、それ未満は400円で届ける。

配達需要も拡大

 全12店のうち11店で実施し、高齢者が米など重い商品で利用するケースが目立つ。水曜には60歳以上のカード会員に特典ポイントを与える。片野良平社長(62)は「お年よりは近所の店で買うので、配達は喜ばれる。高齢者向け市場は拡大する」と話す。

 若者が減り、高齢化が進んだことで生まれたニッチ(すき間)産業もある。島根県に隣接する広島県北広島町の建設会社、栗栖建設は草刈や雪かきなどを手助けする「孫の手・猫の手サービス」を手がける。森田隆司社長(49)は「公共事業依存から抜け出すため、できることからはじめようと考えた」と話す。

 地元での空き家の管理や農地の草刈などを想定していたが、広島市に住む人が呉市に残した墓の掃除を頼んだり、温泉施設の宿直、送迎バスの運転など、広い地域からの注文、思わぬ仕事が入るようになった。

 豪雪だった昨冬は除雪作業の注文が集中した。06年5月期の「孫・猫事業」売上高は600万円。仕事は近隣の建設会社社員と共同で計20人近くで対応する。「これだけではまだ食えないが、仕事は増えている」(森田社長)。

 都市に先行して高齢化が進む当初部や山間地。そこで地場企業が生み出した知恵と工夫が人口減社会の新しいビジネスを築きつつある。

terry19940322 at 18:18 │Comments(0)TrackBack(0)clip!ニュース 

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